私は日本FP協会のFP2級試験を受験してきたんですが、「きんざい」のFP試験もありますよね。
「きんざい」のFP試験があるらしい。というのはもともと知っていたのですが、日本FP協会のFP試験と何が違うんだろう・・・と思いながら、まあ、いっか。と今日まで流しておりました。
ただ、これから受験をしようと思っている方の中には、日本FP協会経由で受けるのか、きんざい経由で受けるのか迷っている方も多いかもしれません。
そこで今回、時間に余裕もできたので「きんざい」と「日本FP協会」のFP試験の違いについて調べてみることにしました。
結論から言えば、ほとんど違いはなく、実技試験の内容が違う。というだけのようです。
ざっくりまとめると
●取得できる資格
→同一(どちらで受かっても国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1・2・3級技能士)
●試験日
→1級実技試験を除き、同一(2級、3級試験は「きんざい」「日本FP協会」とも同日程)
●試験内容
→学科試験:「きんざい」「日本FP協会」とも同内容
→実技試験:違う
という感じです。
取得できる資格が同一なら、あとは難易度次第でどちらを受けるか決める。って感じだと思います。
気になる合格率ですが、日本FP協会の方が圧倒的に合格率が高いです。
じゃ、日本FP協会で。
というのは気が早いです。なぜか?
どうやら調べると、この合格率の違い、受験者のモチベーションの違いが大きく影響しているらしいんですね。
そもそも、学科試験は試験内容が同一なのに、きんざいと日本FP協会では合格率が15%~20%くらい違うんですよ。これって明らかに受験生の質(モチベーション)が関係していますよね。
今回はそのあたりの違いなどについてまとめつつ、私が自ら「きんざい」の実技試験も解いてみましたので、難易度の違い(実感)などをレポートしてみたいと思います。
※この記事では主に、FP2級、3級についてまとめています。
■関連リンク
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日本FP協会ときんざいについて 取得できる資格
冒頭にも書いたように、同じです。きんざいのWEBページにも以下のように書いてあります。
ファイナンシャル・プランニング技能検定は、「一般社団法人金融財政事情研究会」と「特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」(日本FP協会)の2つの団体が実施しています。これを「複数指定試験機関方式」といいます。
金融財政事情研究会または日本FP協会のどちらが実施するファイナンシャル・プランニング技能検定を受検しても、合格すれば、1級ファイナンシャル・プランニング技能士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士または3級ファイナンシャル・プランニング技能士の国家資格を取得することができます。取得できる資格は同一です。
※金融財政事情研究会=きんざい
一緒だと。よくわからないですけど、成り立ちとかをひも解いていくと何かわかるのかもしれません。
とにかく、取得できる資格は同じだということですね。
日本FP協会ときんざいの違い(1) 受験者数
2020~21年に実施した3回の試験のまとめは以下の通りです。(単位;人)
※学科試験のみ記載しています
FP3級 | FP2級 | ||||
きんざい | FP協会 | きんざい | FP協会 | ||
2021.5 | 学科 | 31,105 | 45,331 | 59,496 | 33,475 |
2021.1 | 学科 | 35,553 | 40,195 | 70,407 | 34,349 |
2020.9 | 学科 | 43,455 | 36,891 | 73,788 | 29,789 |
「きんざい」の方が受験者数が多い印象ですね。
日本FP協会ときんざいの違い(2) 問題
学科試験は同一問題
2級・3級の学科試験は同一試験問題です。と「きんざい」のWEBページに明記されていますし、実際に同じ問題です。
●2019年1月試験
〇FP技能検定2級 学科試験問題
日本FP協会(PDF)
きんざい(PDF)
〇FP技能検定3級 学科試験問題
日本FP協会(PDF)
きんざい(PDF)
表紙がちょっと違いますね。でもそれだけ。
実技試験が違う
日本FP協会の実技試験は2級、3級ともに「資産設計提案業務」の1種類です。なので私の場合は、選択の余地もなく、実技試験はこの「資産設計提案業務」を受けました。
きんざいの実技試験は2級の場合、「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」の4種類の中から1つ選択し、1つ合格すればOK。
3級の場合は、「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」の2種類の中から1つ選択をして受験し、どちらか1つ合格すればOKということ。
ザックリいうと、日本FP協会の実技試験はまんべんなく出題されますが、きんざいの方は選択する内容によって偏りがでるようです。
まんべんなく、というのは以下の6つの範囲がまんべんなく出題されるということです。
(1)ライフプランニングと資金計画
(2)リスク管理
(3)金融資産運用
(4)タックスプランニング
(5)不動産
(6)相続・事業継承
きんざいの方は、例えばFP2級の「個人資産相談業務」の出題範囲は(2)のリスク管理が出題されないなどの違いがあります。
詳しくはこちらにまとめられていますので、ご参考にご覧ください。
FP協会ときんざい(金財)での試験の違いー「FP技能士3級・2級合格勉強会」
日本FP協会ときんざいの違い(3) 合格率
合格率の違いはモチベーションの違い?
これも冒頭で触れましたが、以下の表を見るとあきらかに「日本FP協会」で受験した方が合格率が高いです。
FP3級 | FP2級 | ||||
きんざい | FP協会 | きんざい | FP協会 | ||
2021.5 | 学科 | 47.81% | 83.25% | 33.82% | 55.61% |
2021.1 | 学科 | 63.75% | 87.92% | 23.42% | 44.02% |
2020.9 | 学科 | 69.28% | 89.64% | 33.10% | 49.19% |
ただ、違い(2)でも触れたように、学科試験はきんざいでも日本FP協会でも全く同じなのにも関わらず、合格率の違いがすごい。数10%の違いがあります。
なんでこんなに違うんだろ、と思って色々調べていると、先ほどの「FP技能士3級・2級合格勉強会」のWEBページに以下のような分析がされていました。
まず、きんざい(金財)の受験者の中には、金融機関に所属する社員たちが、会社での団体申込により受験しているケースが多くあります。金融機関の人たちが大量に申し込みを行うのですが、その中には資格取得の意欲がなく、それほど勉強しない人も一定数います。受験者本人の意思に関係なく、申込みが行われているのです。そういう受験者が多くいることから、きんざい(金財)の合格率を下げていると考えられます。
もう一つの理由は、将来独立系FPを目指す人(のちにAFP、CFPを目指そうと考えている人)、自主的に資格の取得を決意した人は、FP協会側で受験する傾向があるという点です。
なるほど。無理やり会社でやらされていると。
ありがちですね。うん、ありがち。ありがちだし、いがち。
みなさん、お疲れ様です。という感じです。
実技試験の合格率の差の意味は?
学科試験の合格率の違いは、これでだいたい原因が分かりました。仮に、きんざいと日本FP協会の合格率の差である15%~20%を「やる気の差」だとしましょう。
「FP協会」と「きんざい」の唯一の違いのある実技試験の本当の合格率は、この「やる気の差」を差し引いて考える必要があるわけです。
実技試験の合格率を見てみると、特にFP3級の試験だと30~40%くらい違います。これは、やる気の差では説明できいないですね。
「やる気の差」を20%差し引くと10~20%くらい合格率が違います。
これは、多分難易度でしょうね。おそらく。つまり、特に実技はきんざいの方がFP協会より難しい傾向があるということではないでしょうか?
FP2級の実技の合格率の違いは20~25%程度です。やる気分を差し引くと5%くらい違うので、FP2級試験においても、どちらかというと「きんざい」の方が難易度が多少高いかもしれません。
※推測ですよ。推測。
日本FP協会ときんざいの違い(4) 難易度 実際に両方解いてみた
ということで、推測だけしていても仕方がないので、実際に私が「きんざい」の実技試験を解いてみました。
学科試験は同一なので、実技試験を解きます。違い(2)で触れたように、きんざいの実技試験は4種類からの選択式でした。全部解くのは正直面倒なので、
受験者数が多い「個人資産相談業務」を解くことにします。(きんざいのFP2級実技試験の受験者のうち、60%程度が「個人資産相談業務」選択)
昨日「日本FP協会」のFP2級試験を受けてきたので、頭に詰まっている知識量はほぼ、変わらないはずです。条件は同じ。コンディションも・・・ちょっと眠いけど、まあ同じ。
昨日受けた「日本FP協会」の2級実技試験の正答率は93%でした。(68問中63問正解)
※配点が分からないので、正答率で出しています。
さて、結果やいかに。
きんざい、2級実技試験の正答率は・・・
83%でした。(48問中40問正解)
うん、正答率下がった。
正答率下がりましたけど、難しかったか?と言われると、まあそうでもないかな~。という感じです(強がりではないです。笑)ご、ごご、合格点だしね。
日本FP協会にはFP協会のクセというか問題の傾向みたいなものがあり、何回か過去問を解いてなれると正答率が上がるんですね。問題慣れというんでしょうか。ここは、こういうポイントを押さえて解けばOKみたいな感覚。
それと同じで、きんざいの実技試験もきんざい特有の「問題のクセ」みたいなものがあり、それに慣れるとある程度正答率はあがるのかな。と思いました。
何しろ、今回きんざいの問題を初めて解きましたので。(強がってません)
2~3回解いて問題に慣れれば、ある程度いけるかなと(決して、強がっていません)
まあどうでもいい強がりはさておき、実際「きんざい」の実技を解いてみた感想ですが、楽しかったです。
なんというか、特に計算問題は、日本FP協会のものより深い感じがしました。
うまく伝わらないかもしれないんですが、日本FP協会の実技はある程度表面的な所を押さえていれば解けるものが多いんですね。一方できんざいの方は、多少実践に近いのかな。という感じがしました。
多少ですけどね。
問題を解きながら、あれはこういうことだったのか、なるほど、ふむふむ。実際こうやって計算していくのか~。というのが学べたような気がします。※最も、1回しかやってないので、何ともいえない部分もありますが。
あとは問題数も少ないせいか、40分くらいで終わりました。FP協会の方は70分程度かかったので、比較的制限時間いっぱいまで時間を使ったのですが、きんざいはあっさり終わった感じです。
そういう意味だと、与しやすいのはきんざいの方かな、と思いましたし、楽しいのもきんざいですね。
一方、問題数が少ない分、1問当たりの比重はきんざいの方が大きいです。
※2019年1月の試験において、FP協会の実技の問いは68問、きんざいは48問
問題も、特に計算問題は1問目が合っていないと芋づる式に2問目、3問目が不正解になる、というような恐ろしい問題もありましたのできんざいの実技はちょっと怖いですね。(実際に私は1問目をミスってそのまま3問連続不正解がありました)
なので、どっちがいいか。と言われても困るんですが、まー。無難に行くなら日本FP協会ですかね。
きんざいは、余裕があれば、過去問を解いて理解を深めるのに役立てる。という感じの活用がいいかもしれません。
そんな余裕ないと思いますけどね(笑)
日本FP協会ときんざいの違い(5) 参考書
実技試験の内容が違うので当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、参考書が違います。
私は2級も3級も、以下の「みんなが欲しかったFPの教科書」にお世話になりました。レビューはこちらの記事でまとめています。

ただ、上で実証したように、きんざいの参考書を読んでいなくてもある程度の正答率が得られましたので、正直なんでもいいのかもしれない・・・。という気もします。
ただ、私がお世話になった参考書はたまに「「きんざい」ではここがもっと詳しく出題されます」みたいな記述があったので、「日本FP協会」で受けるのか「きんざい」で受けるのかによって参考書を変えた方が無難といえば無難ですね。
「日本FP協会」FP試験用
2級参考書
3級参考書
「きんざい」FP試験用
こちらはきんざいのFP試験用の参考書です。いろいろな種類があるようです。